エアコンの取り外し工事をするときに必ず行わなければならないポンプダウン。ポンプダウンとはどのような作業のことか、ご存知でしょうか?
エアコンは冷たい空気、暖かい空気を作り出すために冷媒ガスというものを使用しています。エアコンを取り外す際に行う冷媒ガスを回収する作業のことを、ポンプダウンというのです。回収せずに大気中に冷媒ガスが流れでてしまうと環境汚染となるため、回収が義務付けられています。
ここでは、ポンプダウン作業ではどのようなことをするのか、どんな道具が必要なのか、失敗してしまうとどうなるのか、失敗しないためのポイントなどについて紹介してきます。エアコンの取り外しを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
取り外し時におこなうエアコンのガス回収(ポンプダウン)の方法と手順
エアコンを取り外す際に、必ず行わなければならない作業ポンプダウン。エアコンの配管を抜いてしまう前に行わなければ、フロンガスが大気中に逃げていき環境汚染となってしまいます。ここでは、ポンプダウンの手順や必要な道具について紹介します。
ポンプダウンを行う際に必要な道具
・モンキーレンチ
バルブキャップの六角ナットを外すために使用します。六角ナットはペンチでは外しにくい角度にあるため、モンキーレンチを用意しましょう。
・プラスドライバー
室外機のカバーを外すために使用します。ネジのサイズに合っていないものでは開かなかったりネジがつぶれてしまったりするため、サイズの合っているものを選びましょう。
・六角レンチ
六角ナットの奥のバルブを開けるのに使用します。様々な種類の六角レンチがあるため、バルブを開けるのに使用できるサイズを選びましょう。
室外機のカバーを外して六角ナットを取り外す
1.室外機のカバーを固定しているネジをドライバーで外す
2.室外機のカバーを外す
3.カバーを外して出てきた六角ナットの送り側と受け側、どちらもモンキーレンチで取り外す
4.六角ナットが外れると中から綺麗なバルブが見えてくる
ここからポンプダウンの作業に突入!冷房や強制冷房運転機能を使う
室内機と配管パイプの中にあるフロンガスを室外機へ送ります。冷房を使用することでフロンガスが室外機へ送られます。夏場は冷房をつけて設定温度を最低にすることで、フロンガスを室外機へ送ることができます。
冬場は冷房をつけてもうまく運転しないため、状況によっては強制冷房運転を行います。強制冷房運転の方法はメーカーや機種によって異なるため、取扱説明書をご確認ください。
パイプの先にあるバルブを閉める
冷房運転している間にバルブを閉めていきます。バルブを調節することでフロンガスの送り具合、受け取り具合を替えることができます。バルブは2つあり送り側と受け側に分かれています。送り側のバルブに繋がっているパイプは細く、受け側のバルブに繋がっているパイプは太いのが特徴です。
まずは細いパイプと繋がっている送り側のパイプを閉めます。これによって室内機へフロンガスが送り出されるのを止めることができます。3~5分ほどこの状態のまま待ちます。
ガスがきちんと回収されているかどうかはマニホールドゲージを使用して確認しましょう。マニホールドゲージとは冷却用のガスを扱うときに使用する器具で、低圧用のゲージと高圧用のゲージで構成されています。
エアコンのコンプレッサーが働くと、配管内の気圧が0になります。そのタイミングで受け側のバルブを閉めます。これによってガスが室外機に閉じ込められた状態になりました。
上記の手順に従い、ポンプダウンは行います。
冷房運転を停止し、ポンプダウンが成功したか確認する
冷房運転を停止させたら、感電を防ぐためにまずはコンセントを抜きます。コンセントを抜いたら外した六角ナットをバルブに装着します。次は送り側と受け側両方の配管を外していきます。外した際にシュッと音が鳴れば、ポンプダウンが成功しているといえます。
しかし、プシュープシューと音が続く場合はポンプダウンが不十分ということなので、初めからやり直す必要があります。
エアコン取り外しで行われるポンプダウンの注意点や問題への対処法
エアコンを取り外す際にはポンプダウンを行わなければフロンガスが大気へ逃げていき、環境汚染になってしまいます。ポンプダウンの手順を知ったところで、次はポンプダウンを行う際の注意点や問題、解決方法について説明していきます。
ポンプダウンは失敗してしまうと初めからやり直さなければならないため、ポンプダウンを行う前にぜひ参考にしてみてください。
ポンプダウンを行うときに注意すべきこと
ポンプダウンを失敗するケースとして多いのが、バルブがきちんと閉められていなかったというケースと、冷房運転の時間が足りていないというケースです。特にポンプダウンをうまくできず失敗してしまった場合、ガスを新しく充填するために費用がかかってしまいます。
ポンプダウンを行うときはバルブがきちんと閉められているかを確認し、強制冷房運転は足りているかなどを、注意しなければなりません。マニホールドゲージを使用して、配管内の圧力を確認しましょう。
強制冷房運転を行えない場合の打開策
強制冷房運転を行えない場合には、以下のような打開策があります。
・ドライヤーで室内機の温度センサーを温める
・バルブを両方とも六角レンチを用いて右側に閉める
以上のような応急処置を取ることで、強制冷房を行っていきます。しかし、そもそもエアコンが壊れてしまっている場合は、ポンプダウンをすることができないため、応急処置をしたとしても強制冷房を行うことはできません。
まとめ
ポンプダウンはシンプルな作業で行うことができますが、慣れていないと失敗してしまうこともあります。ポンプダウンをしようと考えている場合は以下のことを参考にしてみてください。
・ポンプダウンをするためにはモンキーレンチとプラスドライバー、六角レンチを使用する
・夏は冷房運転で最低温度に設定してポンプダウンを行う
・冬は強制冷房運転でポンプダウンを行う
・バルブがきちんと閉められていないと失敗してしまいやすくなる
・冷房運転の時間が短いと失敗してしまいやすくなる
ポンプダウンに失敗してしまうとガスを補填しなければならない場合もあり、余分に費用がかかってしまいます。マニホールドゲージをはじめとした、使い慣れない器具もあります。確実にポンプダウンを行うのであれば、業者へお任せすることをおすすめします。