暑いときであれ寒いときであれ、私たちに快適さを与えてくれるエアコンは生活していくうえで欠かせない存在となっています。
ですが心強い存在であるエアコンも機械です。最新型モデルであろうと、経年劣化していきます。上手く作動しないといった不具合が徐々に現れるようになり、やがて故障してしまうときも来るでしょう。
故障してしまうのは仕方ありません。だからこそ故障して修理が必要になったときに、どんな対応をすればいいのか把握しておきましょう。そうすれば突然故障したときにも、冷静な対応ができるのではないでしょうか。
本コラムでは、エアコンの修理と故障について、ご紹介していきます。
目次
故障かなと思ったら!まずは応急運転を使ってみよう
望み通りに作動しないと、真っ先に故障かもしれないと疑ってしまうものです。ですがその不具合は、故障が原因ではない場合もあります。まずは冷静に、本当に故障なのかどうかを見極めなければなりません。
本体のコンセントは入っているか
エアコンのコンセントは、備え付ける際に挿してしまった後は、多くの方が滅多に触らないものかと思います。日常的にコンセントをチェックする人なんてまずいないでしょう。
だからこそエアコンが正常に動作しないときは、まずコンセントを確認してください。そうそう起きることではないですが、気づかないうちにコンセントが緩んでしまっていたり、もしかすると抜けてしまっていたりする場合があります。
故障を疑う前にまずはコンセントの接続不良が起きていないかを確認してください。
応急運転が正常に動くか
コンセントがしっかり挿さっているのにエアコンに不具合が起きているときは、応急運転が正常に動くかを確かめてみましょう。
応急運転とは、リモコンを使っての運転が正常でないときにエアコン本体を操作することで応急的に運転させることをいいます。
応急運転が正常に動いた場合は、故障ではなく不調なだけかもしれません。不調の場合は簡単な手入れなどで事態が改善されることがあります。不調かもしれないときに一体どこを手入れすればよいのかは後述いたしますので、そこを参考に試してみてください。
ただし応急運転が無事に開始された場合でも、本体が故障している可能性はあります。
もし異常なく動くリモコンを使っているのに、応急運転以外でエアコンが運転しない場合は、リモコンからの電波を受信する機能に問題が起きているかもしれません。そういったときは本体の故障を疑ったほうがよいでしょう。業者に相談することを推奨いたします。
応急運転を開始するためのボタンは使用している機種によって異なるので、まずは取扱説明書で場所を確認してください。本体にあるボタンということは、つまりエアコン自体を触らなければならないということです。
大抵のエアコンは天井近くに設置されていることが多いかと思います。取り扱いの際は、ケガをしないように細心の注意を払ってください。
不調のときに確認したい4つのこと
エアコンの修理が必要だと思っても、「ただ不調なだけ」という場合も少なくなりません。正常に動作しないときは、これからご説明することをまずは確認してください。
・フィルターなどの内部機構が汚れてしまっている
エアコン内部がホコリなどの蓄積によって汚れてしまっていると、たとえ運転したとしても万全な空調管理はおこなわれません。
設定温度を下げても冷風が排出されないときや、反対に設定温度を上げても温風が出てこないときは、内部パーツをできる限り掃除してキレイにしましょう。それだけで状況が改善される場合があります。
フィルターなどのパーツは、掃除機や歯ブラシなどで掃除することが可能です。まだとくに不調らしい不調が起きていない場合でも、月に1度は掃除することを推奨いたします。
・室外機周辺に問題がある可能性
エアコンは室外機の動作環境によって、不調をきたすこともあります。室外機の周りに鉢植えなどが置いてあったり、室外機が落ち葉などで覆われてしまっていたりするときは、それらをすべて取り除いてみましょう。
室外機をキレイにし、その周辺を片付けてスッキリした空間を作るだけでも、エアコンの機能は回復することがあります。
また室外機が直射日光に当たりすぎないようにすることで、不調が改善される場合があります。エアコンとは室内機と室外機で構成されており、室外機によって作られた暖気や冷気が室内機から放出される仕組みです。
そのため直射日光を浴びることで室外機の内部の温度が上昇すると、うまく冷気を作れなくなってしまいます。冷気が出ないときは、室外機をすだれなどで日光から守ってみてください。改善される場合があります。
・風向きに問題がある
涼しくしたいにしろ、暖かくしたいにしろ、部屋がなかなか望んだ気温にならないのは、エアコンからの送風の向きに問題があるかもしれません。
冷たい空気は暖かい空気より重く、暖かい空気は冷たい空気より軽くなります。こうした空気の特徴から考えると、部屋を暖かくしたいときはエアコンの風向きルーバーを下向きに設定し、反対に涼しくしたいときは風向きルーバーを上向きにしたほうがよいでしょう。
「なかなか快適な気温にしてくれない……。」エアコンのそんな不調は風向き1つ変えるだけであっさり解決してしまうこともあります。
・リモコンは正常に動くのか
リモコンの電源が入らない場合は、まず電池を交換してみましょう。「エアコンを頻繁に利用しているわけでもないのに……」といった場合でも交換してみてください。
電子機器のリモコンはいつでも正常に電源が入るものだと思ってしまいがちですが、どんな電池であれ時間と共に弱まってしまい、最後は使えなくなります。たとえリモコンを日常的に使用していなくても、電池はいずれ切れてしまうものです。
リモコンが正常に動くのにエアコンが不調のときは、もしかするとボタンを押し間違えているのかもしれません。設定温度が表示される箇所を見ながら、落ち着いてボタンを押してみましょう。それでも状況が改善されない場合は、本体の故障ではなく、リモコンが故障している可能性もあります。
故障の場合は自分で直すのは難しい
エアコンは精密機械です。フィルターなどは慎重に扱えばだれでも取り外せるものですが、機械の扱いに慣れていない人がむやみに触れてしまうと、さらに大きな故障につながってしまうおそれがあります。修理したいときは業者に依頼するのが無難です。
業者に依頼すると決断したら、まずはお使いのエアコンのメーカーに問い合わせましょう。どんな機種であれ取扱説明書などに、修理サポートセンターのような名前で連絡先が記載されているはずです。連絡した際は不調の症状について細かく説明しましょう。
ただメーカーによっては24時間365日いつでもトラブルに対応してくれるというわけではありません。メーカー側の対応が想像以上に時間を要することになった場合、24時間365日エアコンの修理交換を受け付けている業者もいますから、そちらに連絡してみるのもよいでしょう。
エアコンの修理代はどれくらいかかる?
もし故障なら、修理をおこなうかどうか決めなければいけません。その決断をする際に必ず考えなければならないのは、金銭的な問題についてです。修理内容によっても代金は変動します。費用をしっかりと把握したうえで、修理するのか決断しましょう。
エアコンの修理代の相場
- 内部メンテナンス:5千円~8千円程度
- 基板の交換:2万円~3万2千円程度
- ルーバーの交換:7千円~2万3千円程度
- 室外機の修理:2万円~10万1千円程度
- 冷媒ガスの補充:1万2千円~2万5千円程度
- ガス漏れの修理:6万1千円~10万1千円程度
- コンプレッサーの交換:5万8千円~10万5千円程度
上記はあくまでも目安の金額になります。エアコンの不調具合によって、もちろん修理する内容も変わってきます。修理内容が変わればそれだけ金額にも違いが現れますので、その点は理解したうえで参考にしてください。
賃貸の場合は注意が必要
新たに住まいを借りて生活を始めるときに、エアコン完備の部屋を契約する方も多いかと思います。ですが備え付けのエアコンが故障したときなどの注意点をしっかりと把握されている方は、おそらく少ないのではないでしょうか。
賃貸物件に備え付けられているエアコンは、故障したとしても自己判断で何かをおこなってはいけません。まずは必ずその物件の管理会社に連絡して事情を説明しましょう。
備え付けのエアコンを含め、契約時からその部屋にあるものはすべて物件のオーナー(大家さん)から借りているものです。そのため、壊れてしまった場合は基本的にはオーナー(大家さん)が修理をします。
故障したからといって許可なく手を加えることは、人のものを勝手に触ったのと同じことになってしまいます。
よかれと思ってやろうとする方もいらっしゃるでしょうが、絶対に無断で修理してはいけません。「故障かな?」と少しでも違和感を覚えたときは、エアコンには触らずにまず必ず管理会社もしくはオーナー(大家さん)に連絡しましょう。
ですが例外として入居者が修理費を負担しなければならない場合もあります。
まず契約時に特約事項として『エアコンが故障した際は借主(入居者)が自己負担で修理する』などの記載があった場合は、入居者が修理代を負担しなければなりません。ほとんどの場合、契約書類に重要事項として書いてあるため、契約時には必ず確認しましょう。
次に、入居者が故意に壊した場合の修理費用は、自己負担になってしまいます。
ですが故意の基準は極めて難しいことです。そのため常識の範囲内といえる使い方をしていたのに故障してしまった場合でも、入居者が日常的な手入れを怠ったせいにされてしまい、修理代を要求されることもあります。
入居者とオーナー(大家さん)間でのこうした設備の修理代を巡ったトラブルは、決して珍しいことではありません。そのためエアコン完備の賃貸物件に住まわれている方は、できるだけ日頃からエアコンの手入れをおこなっておいたほうがいいでしょう。
こんなときはエアコンを買い替えたほうがお得かも!
故障した機械すべてに当てはまることですが、修理するよりも新調したほうが費用を抑えられる場合もあります。
昨今は家電量販店も増え、売り上げの競争が激しくなっているだけでなく、ネット販売などの台頭もあって、これまで値段の高かったものが随分と安価で購入できるようになりました。家電製品もその中に含まれます。
そのため修理すべきか新調するべきか、しっかりと考えたうえで決断しましょう。
保証期間が過ぎている場合
メーカーによって保証期間にばらつきはありますが、一般的には本体が1年間、冷媒回路が5年間の場合が多いです。保証期間内であれば、お金をかけずに修理することができます。
しかし保証期間が過ぎてしまっている場合は、修理代金と新品の値段を比較したうえで行動に移りましょう。
とくに購入してから15年以上が経過している場合は、新調したほうがお得になる可能性が高いです。最新のモデルは省エネを意識した構造であるものも多く、買い替えることによって年間の電気代を抑えることができます。
機種によっては古いものを使い続けている場合より、半額以下まで下げることも可能です。新調することが光熱費の節約につながります。
重修理になる場合
コンプレッサーが故障したときには、積極的に新調することを考えましょう。
コンプレッサーは、冷媒の温度をコントロールする室外機の心臓部分ともいえる最重要機構です。このコンプレッサーに何かしらの不具合が生じたとき、室外機から騒音ともいえる異常な音が発生します。そんなときはエアコンの新調も考えたほうがよいでしょう。
なぜなら、コンプレッサーの修理は大抵の場合『重修理』に該当するからです。重修理とはその部品を完全に分解しなければならない場合の修理を指します。
そのため、重修理は費用が高額になることが一般的で、コンプレッサーの場合は修理費用が10万円以上になってしまうこともあるでしょう。10万円もあれば新しいエアコンが購入できます。
業者から見積りを取ろう!
エアコンが故障したとき、修理と買い替えのどちらをおこなうべきかを決めるためには、両者の正確な金額を知る必要があります。
最新エアコンの金額は家電量販店やネットで調べればすぐにわかりますが、修理費用がいくらかかるのかをあまり詳しくない人が自力で判断することはなかなか難しいものです。
業者に見積りを依頼して、まずは正確な修理費用を知りましょう。それから修理するのか新調するのかを考えれば、最良の選択ができるのではないでしょうか。
見積りを取るときは複数業者から
見積りは必ず複数の業者から取るようにしましょう。業者によってはエアコンの不調に対して、どのような修理が必要になるのか、別の見解を示す場合もあります。必ず複数の業者から見積りをとり、修理内容や金額について精査しましょう。
料金表示が明瞭かも確認
業者の中には、あいまいな表現で金額を提示してくるところもあります。業者を選ぶ際は、どういった修理内容だからこれだけの金額がかかるのだと、丁寧に説明してくれるところを選ぶようにしてください。
まとめ
エアコンは私たちの生活には欠かせない存在です。だからこそ正常に動作しなくなったとき、修理するにしろ、買い替えるにしろ、冷静に考えて決断しなければなりません。
そのためにもまずは無料で見積りを取ってくれる業者を何か所かピックアップし、それぞれの見積り結果を比較してみることを推奨します。